人生とはいま、この時を生きていくこと  佐治 晴夫(理学博士、現在、リベラルアーツ教育の実践を全国的に展開している) 

1.私は人間の寿命について、いつしかこう思うようになったのです。私たちは身近な人や友人など「他者の死」に遭遇(そうぐう)します。これは現実として受け止めることができる。しかし、自分が死ぬ「一人称の死」は意識することができません。人間は生まれた時も死ぬ時も覚えていないんです。だとしたら、自分にとっての時間とは一体何なのだろうかと。 

2.カトリック教会の司教で哲学者だったアウグスティヌスは「現在イコール永遠」と定義した。私たちは過去を過ぎ去ったものと考えるが、そう考える自分は現在にいる。つまり過去も未来も現在に含まれ、それが永遠に続く。ということは、私たちの人生は、「いま、ここに」しかいないのです。 

3.カトリックには「自分が死ぬことを忘れるな」、その対語として「今日の花を摘むように、今を生きなさい」という教えがありますが、人生は突き詰めると、「いま、この時を生きていくことだ」というのが、89 年間生きてきた私の人生観です。

 (参考:「致知」2024 年6 月号) 

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