社員の試行錯誤をいかに評価するか  柳川 範之(東京大学大学院教授) 

1.激動期においては、現状維持を排して、変化に迅速に対応することが必要となるが、それを実際に組織として実行するのは、容易なことではない。そこで、それを実現するための試行錯誤の重要性を指摘したい。変化すること自体は予想できるものの、その方向性が不透明な場合に必要なのは、さまざまな形での試行錯誤を繰り返し、よい方向性を見つけ出すことだ。そういうトライをせずに、いきなり正しい選択をすることは難しい。 

2.試行錯誤の重要な点は、失敗がつきものだということだ。しかし、組織内や社会でその失敗がネガティブに評価されるのなら、試行錯誤をすることに誰もが躊躇(ちゅうちょ)するようになってしまう。しかし、どこがゴールかよくわからず、どこに宝の山が眠っているか見通せない場合には、うろうろして、あちこちを掘り起こしてみることが重要な作業となる。この場合に、宝が見つからなかったからといって、掘ったこと自体がネガティブに評価されたり、罰せられたりしたのでは、誰も宝を探さなくなってしまう。 

3.したがって、試行錯誤については、その結果がどうだったかではなく、トライやチャレンジをしていること自体が評価される人事体制が必要だ。

(参考:「週刊東洋経済」2024 年3 月16 日号) 

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