1.金利は資本主義経済が機能するかどうかの根本です。効率性という尺度で資源配分する際に、効率を判断するベースとなるのが金利だからです。しかし、金利がゼロだと、企業経営者には投資判断する基準がなく、銀行も融資の是非がよく分からない。日本は経済が回る基準がないまま、規律が働かない状況が続いていたのです。
2.この30 年余りの経済政策は、金利をゼロにして積極財政で経済を回復させるものでした。国債を増発し、財政支出をして需要を増やした一方で、払うべき預貯金の利息をゼロにした。その分はGDP(国内総生産)が増える要因のはずでした。しかし、財政支出や預金者の我慢によるプラスはどこへいったかというと、ほぼ企業の内部保留と配当です。
3.企業経営者は設備投資をし、賃金を上げるべきでした。そのためにはイノベーションを進めて付加価値を上げる努力をするべきでした。金利上昇で経営者には「現状維持」が難しくなります。原材料コストや金利、人件費が上げる中でどう利益を上げるか、真剣に考えざるを得ません。利上げは経営者に対して変革に動くプレッシャーをかけることになります。
(参考:「週刊ダイヤモンド」2024 年5 月11 日号)