1.円安に株高、インフレと、これまでと正反対のいい風が吹いていることは確かです。ただ、変わっていない企業は、今の追い風がやむと厳しくなるでしょう。欧米企業は、先に未来を見据えて、そこからバックキャストする演繹(えんえき)型の思考が得意です。一方、日本企業は現場・現物・現実の三現主義で、足元から今の延長線上で帰納的に思考する傾向が強い。
2.演繹型の思考は、創造的破壊で次々に新陳代謝をすることをいといません。それに対して帰納型は今のものを維持させながら進化を目指すので、安定的で確かであるものの、進化に時間がかかります。この思考法の違いは、瞬間で見ると圧倒的な差を生み出します。欧米と日本の成長に差がついた原因の1つは、ここにあります。
(参考:「週刊東洋経済」2024 年5 月18 日号)