昭和世代と若者で善悪の基準そのものが異なる 鈴木 貴博(百年コンサルティング代表)

1.20 世紀以降、世界が大衆の時代を迎えると以前にはなかった善悪が出現します。他人がそれを不快に感じるという基準です。ニーチェの道徳論の思想からそれぞれ理解することができます。ニーチェは、大衆社会では「他の違う行動をする者は道徳的に悪だ」という考え方が社会に広がると、20 世紀の大衆化の時代を看破しました。 

2.この20 世紀の思想は、昭和のおじさん世代に強固にしみついてしまった社会規範でもあります。一方で、21世紀に大衆社会は個人優位の社会に変わります。そして善悪の基準が「多様性の時代には少数派を不快に感じさせる行動は悪だ」という思想へと進化します。そこで、退職代行会社です。20 世紀の善悪を基準にしている側から見れば、社員が退職代行会社を使って辞めていくのは「他の社員と違う行動でマナーが悪い」と感じます。 

3.21 世紀の善悪を基準にしているZ世代の側から見れば、「そういうことを平気で言うおじさん世代管理職の考えが不快だ」ということになります。おじさん世代にとって残念なことは、時代は多様性に向かっています。他と違って何が悪いのだと言われている時代に、「人としてそのやり方はおかしい」という心の叫びは通用しなくなり始めているのです。  

(参考:「週刊ダイヤモンド」2024 年6 月22 日号) 

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