今が「本来の姿」(若手社員の意識)   守島 基博(学習院大学教授) 

1.日本の人事は一昔前まで、育成を含めて企業主導であり、社員はシニアから若手までそれを受け入れるのが一般的だった。しかし、最近の若手社員は疑問があれば尋ねるし、納得しないと企業に不信感を抱き、積み重ねると退職につながることもある。状況は変わったが、私は今が「本来の姿」なのだと捉えている。 

2.背景の一つは労働市場が流動化し、多くの社員にとって会社を去ることが選択肢となり、人口減少も重なり労働市場が逼迫(ひっぱく)したことだ。グループワークなどで意見を表明する場面が多く、若い世代は会社でもそれが当然と考える。自社が合わないと感じると他の会社の働き方を調べることも容易になり、就職と同時に転職サイトに登録するなど働く意識が変わっている。 

3.それだけに企業は新入社員・若手社員の教育の在り方を見つめ直す必要がある。例えば、多様な研修メニューを用意し、社員が自ら選べるようにすべきだ。自分で選びたいのは、経営が変わる中でスキルを身に付けて成長する意欲が強いからだ。人事部門は人材不足を背景に「つなぎ留める」発想が目立つが、今後はもっと「魅力を感じて活躍してもらう」ことにフォーカスすべきだ。

(参考:「日経ビジネス」2024 年6 月3 日号) 

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