1.小売業界にとって、これからの5 年は優勝劣敗がいよいよ明確になる重要な転換点になるだろう。いま、小売業界にとって最大の逆風は、足元で吹き寄せる人件費高騰(こうとう)の嵐だ。今年の春闘では4 月時点で正社員の賃上げ率が5.49%、パートで6.11%と、大幅な賃上げとなった。労働集約的な小売業界において大きな負担増は免れない。
2.すなわち、これまで低賃金の労働力を前提に低収益でも存続してこられた企業が、いよいよ事業の継続性を問われるようになるのが、今後の中長期的シナリオといえる。ただし、重要なのが、賃金上昇と同時に、企業ごとの売り上げ格差も顕著になってきている。例えば、イトーヨーカ堂の24 年2 月期の既存店売上高は前年比100.5%に対し、中堅スーパー、ヤオコーの24 年3 月期は同107.7%と、かなりの開きが生じている。
(参考:「週刊ダイヤモンド」2024 年7 月6 日号)