1.吉田松陰が残した言葉の一つに、「人賢愚(けんぐう)ありと雖(いえど)も、各々一二の才能なきはなし、湊合して大成する時は必ず全備する所あらん」。つまり、人は賢くも愚かなるもあるとは言え、誰にでも一つや二つの才能はあるものだ。それらを集めて伸ばす努力をして成長すれば、必ず人として良い方向に備わり、立派な人間になれるであろうということです。
2.二つ目の言葉は、「中道の士は美質全徳以てくわふることなし。論ぜずして可なり」。中庸の徳を備えて踏み行う人は、優れた素質と純粋な人徳があり、つけ加えて言うこともなく、わざわざ議論するまでもないことであるという意味です。中庸の「中」は偏(かたよ)らないこと、「庸」はかわらざることを表します。日本人は古来、一方に偏り過ぎない「中庸」を大事にしてきました。
(参考:「致知」2024 年12 月号)