社員に常に心のありようを説いていた  稲盛和夫(京セラ創業者) 

1.「企業は人なり」。経営の神様、松下幸之助はそう説いた。では、「人」とは何か。禅、哲学を手掛かりに、この問いに向き合い、「心の時代」の経営モデルをつくる挑戦が始まった。今ほど過去の常識が覆り、リーダーが地に足が着かぬ不安を覚える時代はかつて無かっただろう。価値観の変化や多様化が、未経験の倫理的課題を企業に突き付ける。会社や生き方の「新たな軸」を求め、先駆者は先人の知恵をどういかしているか。 

2.「大和(だいわ)」の僧名を持つ、京セラ創業者の故・稲盛和夫は生涯、禅と向き合った。65 歳の時、京都の臨済宗円福寺で得度したことはよく知られている。禅宗に傾倒する経営者は多いが、得度し、一時は托鉢にも出ていた経営者となると限られるだろう。 

3.そんな稲盛と禅的精神の関係を考える上で刮目すべき事象がある。1982年1月13日、開催された経営方針発表会だ。「経営スローガン」は「新しき計画の成就は只不屈不撓の一心にあり。さらばひたむきに只想え気高く強く一筋に」である。「人材の育成」は「心の働きを知ることが、京セラフィロソフィを解くカギとなる」「強い思いで潜在意識を動かす」「霊性心とは魂に付属する心」等常に心のありようを説いていた。

(参考:「日経ビジネス」2024 年10 月21 日号) 

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