1.ドイツ経済のダイナミズムが失われて久しい。2024 年の実質成長率の見通しを、従来のプラス0.3%からマイナス0.2%に引き下げた。マイナス成長は2 年連続で、「欧州の病人」との呼称が定着しつつある。一つは、エネルギー問題だ。ロシアから安価な天然ガスの輸入に依存する体制を強めていたが、ウクライナ戦争が起こり、ロシアからの天然ガス輸入が止まると、エネルギー価格は上昇し、コスト競争力の低下を招いた。
2.また、中国経済への依存度も高めた。ところが中国経済が低迷し、保護主義を強める中で、ドイツ企業は急速に中国市場での競争力を失いつつある。ただ、中長期視点ではドイツを見習う点もある。財政規律を重んじ、政府債務の国内総生産(GDP)比が60%台だ。それに対し、日本は財政拡張を続け、200%を超えている。金融危機など有事への備えという点では、ドイツと日本の格差が際立つ。
(参考:「日経ビジネス」2024 年10 月28 日号)