1.「人的資本」とは人間の持つ能力、才能、知識、体力のこと。企業が生産設備など物的資本に投資するように、人にも投資することで能力が伸びて、価値が高まるという考えだ。例えば教育・訓練、健康管理などへの出費は人的資本投資と捉えられる。
2.人的資本は大きく二つある。「一般的人的資本」は汎用性・市場性が高く、どの企業でも価値を生める。これまでの教育、学歴、公認会計士や証券アナリストといった資格が例だ。一方、「企業特殊的人的資本」はその企業内でのみ生産性を発揮できる。長く勤めるほど高収入を得られ、企業と社員の相互依存が生まれやすい。
3.機械や生産設備といった物的資本に減価償却という概念があるように、人的資本も経年劣化する。劣化を防ぐには継続的な投資と定期的なメンテナンスが必要だ。人的資本は1年間で38%も陳腐化するという研究結果もでている。特に一般的人的資本は放っておけばどんどん陳腐化する。
4,今の報酬制度を維持することはもはや難しくなっている。賃金と生産性に見合っていないと思われたら、容易に転職されてしまう。逆に賃金と生産性に見合っている状態にすれば、働く側がどんな年代であれ、人的資本の投資対象となり得るはずだ。
(参考:「日経ビジネス」2024 年12 月23 日号)