
1. 1977年、脱水用の五百キロの重しが落下して女性社員が重傷を負う事故がありました。この後、私は最新の脱水装置を設置することを決めました。それには莫大な投資が必要で、万一、経営が破綻することもあり得たのですが、社員が怪我をしてしまう環境で事業を続けても会社として存続する意味はないというのが私の考えでした。結果的に非常に安全で衛生的な環境に生まれ変わりました。
2. 社員たちは「会社はここまでして自分たちのことを考えているのか」ととても喜んでくれました。それで、社員のモチベーションは一気に上がり、生産性、業績ともに高まっていきました。目先の利益ではなく、社員の安全や健康を第一に考えたことが今日の発展につながったのです。
3.運を呼ぶ人はどこかで必ず努力しています。些細なことでも、ある人に親切にしたらその人がとんでもない大物で、縁が大きく広がったということが現実にあるわけです。私には誰かに尽くせば、どこかで返ってくるという信念があります。社員に真心を尽くしておけば社員は必ず返してくれます。
(参考:「致知」2025 年5 月号)