
1. 日産自動車が経営危機に陥っている。日産の迷走は、内田体制になる前から始まっていた。その要因の一つは、「他者依存」にあるのではないか。日産は1990 年代後半に経営危機に陥り、99 年ルノーの出資を受け入れ、カルロス・ゴーン氏を最高執行責任者(COO)に招いてから、他者との提携や協業を続けてきた。
2. そのゴーン氏は、会社法違反などで起訴された。同氏に頼り、権限を集中させてきた日産のガバナンス構造にも原因があったと言える。ゴーン氏は独メルセデス・ベンツグループ(旧ダイムラー)と共同開発や合弁工場の運営で提携するなど、規模拡大のために他社の経営資源を活用することに注力した。伸びきった兵たんの弊害は、今も日産の経営に影響を与えている。
3.23年にルノーの日産への出資比率を15%まで下げることで合意したが、依然としてルノーの意向は強く働いている。またグローバル化やダイバーシティーの名の下に、多くの外部人材が日産の幹部に就いては去っていった。そのたびに経営方針が変わった印象は拭えない。自社の意識や組織の改革を断行しなければ会社の軸が定まらず、外部の力に翻弄される経営が続いてしまう。
(参考:「日経ビジネス」2025 年3 月24 日号)