
1.もはや、日本は経済大国ではなく、貧困放置国家になってしまったのかもしれない。金融危機以降、低成長にあえぐ日本では、企業の従業員の給与は伸びず先進国では最下位レベル、発展途上国並みの低賃金に陥った。一方、大企業は儲けた利益を内部留保としてため込んだ。それを、賃上げや人材資本投資、国内投資へ回してこなかった付けが、今回ってきている。
2.日本の格差問題を固定化し、かつ深刻化させたのは、80年代から急速に労働市場に浸透した非正規労働者の存在である。正社員が担っていた仕事の一部を、低賃金の非正規労働者に置き換えていったのだから格差が拡大していくのは当然のことだ。
3.こうして日本社会を格差社会と呼ぶだけでは実態の過酷さが伝わらない。格差社会よりはるかにシビアな「階級社会」へ変貌を遂げていたのだ。それは出自や就職時期の経済環境などによって階級が決まる「現代版カースト」ともいえる理不尽な世界だ。ややこしいことに、階級格差は親から子へ、子から孫へと世代を超えて連鎖し、受け継がれていく。
(参考:「週刊ダイヤモンド」2025 年3 月29 日号)