No.840 冥加とは「神仏や先祖の御加護」が加わる力   岡本彰夫(元春日大社宮司、奈良県立大学客員教授) 

 

1.時は江戸後期、類(たぐい)稀(まれ)な観察眼による人相の研究を書にし、一世を風靡(ふうび)した観相家がいました。水野南北先生。食を慎めば運命が開ける、という「節食開運説」でつとに知られています。 

2.私は幼い頃、祖母が少し変わった日課を持っていました。夏場、悪くなったごはんや、料理で出た野菜の切れ端をざるに取っておく。数日にいっぺん、少し離れた農家の鶏小屋へ私の手を引いてそれを持っていき、鶏たちに与えるのです。幼心に、なぜこんなことをするのか疑問に思って尋ねてみると、「ミョウガに悪いからや」と即座に答えました。 

3.神主を志し、神道を学び始めたことで「冥加」(みようが)という言葉を知ったのです。「冥」は冥土の冥。冥加とは「目に見えない世界から加わる力」であり「知らないうちに蒙(こうむ)る神仏や先祖の御加護」のことです。祖母は、余り物を他の家や生き物にお返ししていたのです。この教育が、私の根幹になりました。 

(参考:「致知」2025 年8 月号) 

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