
1.禅僧たちは何を悟ったのであろうか。朝比奈宗源老師は、その著『仏心』(春秋社)の中で、こう説かれている。「どう悟られたかというと、つねにお互いがたよりにし、お互いの生活の根底としている、意識そのものに実体はなく、その意識のつきたところに、永遠に変わらない、始めもなく終わりもなく、つねに浄(きよ)らかに、つねに安らかに、つねに静かな光明にみたされいる仏心があるということを悟られたのであります」と説かれている。
2.朝比奈老師は「仏心はこうした絶対なもので、私どもは、仏心の中に生まれ、仏心に中生き、仏心の中に息を引きとるのでありまして、仏心からはずれて生きることも、仏心のほかに出ることもできないのであります。たとえれば、私どもは仏心という広い心の海に浮かぶ泡のようなもので、私どもが生まれたからといって仏心の海水が一滴増えるのでも、死んだからといって、仏心の海水が一滴へるのでもないのです」と分かりやすく説かれている。
(参考:「致知」2025 年9 月号)