耳より情報2023年4月 No.387

このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。

世の中にはつねに万物流転の法則がある藤澤武夫(ホンダ初代副社長)

1.「世の中にはつねに万物流転の法則がある」。ホンダの初代副社長・藤澤武夫が社内で説いて回ったという言葉だ。藤澤は創業者の本田宗一郎とともに、ホンダを世界で指折りの自動車メーカーに育てたことで知られる。万物流転のおきてがある限り、大きくなったものもいずれ衰える。つねに時代をリードする企業でなければ、その存在はあっという間に消えてしまうだろう。「希代の大番頭」と呼ばれた藤澤の戒めは、EV(電気自動車)シフトの波が押し寄せる日本の自動車産業界に響く。

2.ガソリン車に比べて部品が少なく、構造が単純なEVは異業種参入を促した。今後自動車の性能や価格を左右するソフトウェア領域の台頭も著しい。「このままだと本当に日本の自動車産業は沈没する」。あるホンダ幹部は強い口調で危機感を示す。

3.完成車大手を頂点とする自動車産業ピラミッドもいつまで保てるかわからない。2020 年後半からの半導体不足は、その崩壊の予兆とも受けとれる。半導体大手は完成車大手の意向どおりに、増産や価格交渉に応じてくれるわけではないことが明らかとなった。今年9 月、ホンダは創立75 周年を迎える。「アイデアは苦しんでいる人のみに与えられている特典である」。本田宗一郎は、逆境をアイデアの源泉とするようにと言葉を残した。今まさにホンダの存立意義が問われている。

(参考:「週刊東洋経済」2023 年2月11日号)

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