
1.東南アジアは、生産拠点の中国から移転先ということでかなり恩恵を受けている。ベトナムでは輸出の7 割が外資系企業による製品で、新たな輸出拠点として存在感が出てきた。仮に高率な関税をかけられても、繊維製品や機械系部品は米国で製造するよりも安価で価格競争力があるため、製造拠点の地位がなくなるとはみられていない。
2.とはいえ、タイが人口減少局面に入り、ベトナムも少子高齢化が進み始めて生産年齢人口のピークがきた。ASEAN の労働供給の優位性は減退し、インドへのシフトが中長期的に強まるだろう。人口がまだ増えるインドネシアやフィリピンは内需がさらに拡大する。ASEAN の成長牽引役が従来のタイから代わるだろう。日系企業は意志決定が遅い、新規投資が停滞している、と現地で指摘されている。日本にとって正念場だ。
(参考:「週刊東洋経済」2025 年7 月12 日号)