- 2022年7月17日
耳より情報2022年7月 No.245
円の独歩安招いた経常赤字、円は今後一段と下落する 唐鎌大輔(みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト) 1.対ドルで急速に円安が進むが、実質実行相場(物価の影響を除く複数の通貨間での実力)でみても、1972年以来50年ぶりの円安水準である。その背景には、①欧米と比べても低い日本の成長率、②日本だけゼロ金利継続、③為替の需給構造の変化がある。最も根深い要因は需給構造の変化だ。2.円が国際的な安全資産 […]
円の独歩安招いた経常赤字、円は今後一段と下落する 唐鎌大輔(みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト) 1.対ドルで急速に円安が進むが、実質実行相場(物価の影響を除く複数の通貨間での実力)でみても、1972年以来50年ぶりの円安水準である。その背景には、①欧米と比べても低い日本の成長率、②日本だけゼロ金利継続、③為替の需給構造の変化がある。最も根深い要因は需給構造の変化だ。2.円が国際的な安全資産 […]
父より上であった (解説)いかにも父の申された如く、その頃私は文字の力からいえば、不肖ながら或いは既に父より上であったかも知れぬ。また父とは多くの点において、不肖ながら優れた所もあったろう。 (参考:渋沢栄一「論語と算盤」):国書刊行会
物価上昇が日本の強みを磨いた 小峰隆夫(大正大学教授) 1.1970年代に起きた2度の石油ショックは人々の暮らしや企業活動に大きな影響を与えました。2度の石油ショックの影響は異なったわけですが、継続的に物価上昇が訪れたことは日本の企業に大きな変化をもたらしました。例えば、自動車産業では燃費のいい車がどんどん造られるようになりました。「石油は貴重なもの」「大切に使わないといけない」との意識を消費者も […]
午後10時の日本経済 1.21年度の貿易収支は5兆3749億円の赤字となった。2年ぶりの赤字だ。製造業の海外生産が定着したことで、輸出に伴う円安メリットも大きく縮小した。資源や穀物の価格の高騰を考えれば、22年度も赤字が続く公算は大きい。1980年代後半から90年代前半に巨額の貿易黒字を稼いでいた日本経済の面影はどこにもない。それどころか、資源価格の推移次第では、経常収支も赤字に転落する公算も否定 […]
山下俊彦(松下電器「現パナソニック」、3代目社長)の経営哲学(その2) 梅沢正邦(ジャーナリスト、元「週刊東洋経済」副編集長、論説委員長) 1.日本の衰退は二段階で起こった。バブルのおごりが第一段階。第二段は、バブル崩壊で周章狼狽した経営者たちがアングロサクソン流の株価第一、短期収益優先の新自由主義に飛びつき、曲がりなりにも日本の高度成長を実現した「日本型経営」を全否定してしまったことだ。松下電器 […]
其許(そのもと)の思うままにさせる (解説)確か私の23歳の時であったろうと思うが、父は私に向い「其許の18歳の頃からの様子を観ておると、どうも其許は私と違った所がある。読書をさしても能く読み、また何事にも利発(かしこいこと)である。私は今後其許を私の思う通りのものにせず、其許の思うままにさせることにした」と申されたことがある。 (参考:渋沢栄一「論語と算盤」):国書刊行会
ホンダで進む人材流出 1.2021年7月末~22年3月末にホンダを去った退職者の数は実に約3200人に上った(依願退職者のみの人数)。その大半が早期退職制度「ライフシフト・プログラム(LSP)」を利用している。LSPは、55歳以上65歳未満の日本の正社員を対象に、社員の世代交代を図る目的で導入された。ホンダが当初見込んでいたLSPの利用者数は1000人程度だったが、経営陣の想定よりもずばぬけて多い […]
「義は人の正路なり」(孟子) 數土文夫(JFEホールディングス顧問) 1.1900年、米国で「武士道」を刊行した新渡戸稲造は同書で、「義」は武士にとって最も厳しい教えであり、裏取引や不正ほど忌(い)み嫌われるものはないと記しています。新渡戸によれば、「義」は正義の道理であり、国、社会に対する成人の責任義務であるのです。新渡戸はまた、孔子の第一後継者と自認する孟子の「義」に関する考え方も紹介していま […]
山下俊彦(松下電器「現パナソニック」、3代目社長)の経営哲学(その1) 梅沢正邦(ジャーナリスト、元「週刊東洋経済」副編集長、論説委員長) 1.山下俊彦は、45年前の1977年、下から2番目のヒラ取締役からいきなり松下電器(現在のパナソニック)の社長に就任した。松下幸之助による大抜擢だった。山下は工業高校卒で松下家とは縁もゆかりもない。世間は「22段跳び」と大騒ぎしたが、あれから半世紀近い時間が流 […]
かえって子を不孝の子たらしむる (解説)孔夫子は孝道の事についてしばしば説かれておる。しかし親から子に対して孝を励めよと強めるのは、かえって子を不孝の子たらしむるものである。私にも不肖の子女が数人あるが、それが果たして将来どうなるのか、私には解らぬ。 (参考:渋沢栄一「論語と算盤」):国書刊行会