- 2021年7月1日
耳より情報2021年7月 No.45
企業の目的はシェア争いや販売量の増加ではない ハーマン・サイモン(経営学者、元独マインツ大学とビーレフェルト大学教授) 1.スウェーデンの家具製造小売りイケアは家具の小売業者として、同業者より低価格を掲げながら、大きな利益を生んでいる。それを可能にしているのは独自のビジネスモデルだ。通常の家具業者はコストをかけて商品を工場で組み立ててから出荷する。それに対して、イケアは消費者に家具を組み立てさせる […]
企業の目的はシェア争いや販売量の増加ではない ハーマン・サイモン(経営学者、元独マインツ大学とビーレフェルト大学教授) 1.スウェーデンの家具製造小売りイケアは家具の小売業者として、同業者より低価格を掲げながら、大きな利益を生んでいる。それを可能にしているのは独自のビジネスモデルだ。通常の家具業者はコストをかけて商品を工場で組み立ててから出荷する。それに対して、イケアは消費者に家具を組み立てさせる […]
悪競争は己自身も損失を招く (解説)しかしながら、他人が事を企って世間の評判が善いから、これを真似て、掠めてやろうとの考えで、側(はた)の方からこれを侵すというのであったら、それは悪競争である。かく善悪二つに言い得るけれども、そもそも事業は百端で、したがって競争もまた限りなく分れて来る。しかうしてこの競争が善でなかった場合は、己れ自身にも損失を受ける。 (参考:渋沢栄一「論語と算盤」):国書刊行会
社会の余剰人員(失業予備軍)が急増 1.2020年、上場企業約100社が早期希望退職者募集を打ち出した。2021年に入ってからもすでに約40社。最大の要因はコロナ禍の直撃だ。また、2020年休廃業・解散した企業は、過去20年間で最多。当該企業の約6割は直前期の決算が最終黒字であり、コロナ禍が休廃業・解散を決断する契機となった。2.「雇用保蔵者数」なるものが今、急増している。生産に最適な数を超えた雇 […]
「観光客依存」が露呈した日本 1.主要各国の2020年の国際収支統計が出そろった。外国人観光客による消費額を示す「旅行収入」は、日本が2017年比77%減と主要先進国で最大の落ち込み。米国やイタリアは6割減、ドイツは5割減にとどめた。厳しいロックダウン(都市閉鎖)を繰り返してきた欧米より、なぜ日本のほうが外国人消費で影響を受けるのか。背景には、訪日戦略で「観光目的」に頼りすぎていた面が浮かび上がる […]
世界規模の危機こそ「人新世」の末路 斉藤幸平(大阪市立大学大学院准教授「人新世の資本論」の筆者) 1.コロナ禍は、すでに存在していた資本主義の構造的矛盾を徹底的に可視化した。中でも格差問題は深刻だ。昨春以降の米国では、ビリオネアが資産を44%増やす一方、2000万人以上が失業した。感染抑止のためデジタル化や、オートメーション化が加速することで、富の一極集中はさらに深刻化するだろう。2.だが、問題は […]
競争には二種類ある (解説)すべて物を励むには競うということが必要であって、競うから励みが生ずるのである。この競争に善意と悪意との二種類があるようである。毎日人より朝早く起き、善い工夫をなし、知恵と勉強とをもって他人に打克つというは、これすなわち善競争である。 (参考:渋沢栄一「論語と算盤」):国書刊行会
背水の百貨店 1.「衣料品は以前から苦しかったが、コロナでとどめを刺された」。(高知大丸)。高知県唯一の百貨店である同店では、2020年7〜8月、婦人服と紳士服の合計31ブランドが一気に退店した。退店したのは、オンワードホールディングスやレナウン(2020年5月に経営破綻)などアパレル大手が展開するブランドだ。従来は退店があれば別のアパレルブランドで埋めてきた。だが、新規出店できるほどの余力を持つ […]
自分の足を用いる ニーチェ(1844〜1900年、ドイツの哲学者) 1.高所に登ろうとするなら、自分の足を用いよ。他者の力で運ばれてはならない。ひとの背に乗るな、頭に乗るな。2.ある者は、まず最初に心情が老い、ある者はまず最初に精神が老いる。またある者は青春のうちに老いている。だが、青春の訪れのおそい者は、ながく青春を保つ。3.わたしはわたしの愛と希望にかけて君に切願する。君の魂のなかの英雄を投げ […]
老舗企業、生き残りの共通点 曽根秀一(静岡文化芸術大学准教授) 1.日本は世界一の長寿企業として知られる。帝国データバンクによると、創業・設立から100年超の企業が3万3259社ある(2019年時点)。金剛組(大阪市)は、創業578年の最古の企業で、初代金剛重光は聖徳太子に招かれ、朝鮮半島から渡来し、四天王寺の建設にかかわったと伝えられる。以後、金剛家は四天王寺のお抱えとなり、代々建築工事で中心的 […]
孝悌は仁を為すの本(孔子) (解説)孔子の教えで云うならば「孝悌は仁を為すの本」というように、初め孝悌からふみ出して、それから大きく仁義にもなり、忠恕(ちゅうじょ)にもなる。これを総称して道徳というようになって来るのであろう。そういう広い人道的な道徳でなくして、商売上殊に輸出営業などについて注意を望むのは、競争に属する道徳である。 (参考:渋沢栄一「論語と算盤」):国書刊行会