このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
この世は耐え忍ぶ所 横田南嶺(臨済宗円覚寺派管長)
1.仏陀(ぶっだ)は、まさしく「一切いっさい皆かい苦く」と説かれ、「四苦八苦」と説かれた。「四苦」とは生老病死(しょうろうびょうし)であり、生まれる苦しみ、老いる苦しみ、病の苦しみ、死の苦しみを言う。いずれもが思うようにならないのである。思うように生まれることも、老いることもできない。病もまた思うようになるものではなく、死に至ってはなおさらだ。
2.更に、愛する者との別離の苦、憎い者と会わなければならぬ苦、求めても得られない苦、この体と心に感じる事は、思うがままに任せられない苦であるという。そして仏陀は、「一切は苦である」と説かれた。何とも暗い話で、希望も何も感じられないかもしれないが、これが事実である。この世は、実に耐え忍ぶ所なのだ。
(参考:「致知」:2021年5月号)