このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
商人と実業家の違い 宮本又郎(大阪大学名誉教授)
1.日本は失われた30年といわれますが、特に目立つのがスタートアップの不振です。日本の起業率は極めて低いし、スタートアップする人を尊敬する割合も起業した人の満足度も低い。日本経済の停滞はここに起因すると私は見ています。今こそ起業家をサポートする文化やリスペクトする社会的風潮を取り戻すべきではないでしょうか。
2.渋沢栄一の果たした役割として、江戸時代までの「商人」と違う「実業家」という概念を示したことも大きかったと思います。商人について渋沢は、幕府や大名ら相手に自分の利益を追求しただけだ、としています。これに対して、明治に入って生まれた実業家については、自らの利益を肯定すると同時に国家社会=公益を追求すべきだと、と説きました。
(参考:「日経ビジネス」:2021年12月13日号)