このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
「慈悲や優しさ」と「厳しさ」の２つを備える 横田 南嶺（臨済宗・円覚寺派管長）
１．私がつくづく思うのは、人間は相反する二つが備わって初めて成長していくということです。東洋古典
でいう陰陽はまさにそうですが、何千年の昔から言われているこのシンプルな原理に、私はいまさらながら気づいたわけです。例えば、葉っぱが散るのを見ても、風に吹かれて散っていると見るか、葉っぱが最後の命の中で精いっぱい舞っていると見るか。後者の姿こそ学ぶべきです。
２．仏教では、生きる上で慈悲や優しさが大事だと説きます。しかし、それと相反する人を寄せつけないほ
どの厳しさ。この二つを備えていなければ本当の慈（いつく）しみにはならないのではないか、前進していけないのではないかと思います。仏教に限らず厳しい時代を生き抜くには、やはり相反するものを備えていなくては進歩発展はないと、そう感じております。
（参考：「致知」2023 年3 月号）