耳より情報2023年2月 No.353

このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。

スティーブ・ジョブズも傾倒した禅 石井 清純(駒沢大学仏教学部禅学科教授)

1.禅がグローバルに展開したきっかけは1950 年、仏教哲学者の鈴木大拙 (だいせつ)が渡米して、コロンビア大学やイエール大学で禅の講義を行ったことに始まる。この講義は反響を呼び、大拙の著書「禅と日本文化」は世界中で翻訳され、禅の思想を学ぶ人たちの必読書となった。当時は米ソ対立が激化し、多くの人たちが東洋思想に興味を持った時期だった。

2.一方、欧州で禅が広まったのは 60 年代後半、丸泰仙(まるたいせん)という僧がフランスに渡り、「膝で地を推し、頭頂で空を衝く」というシンプルな教えで禅を広めた。欧州で禅が受け入れられたのは、西洋の物質文明に対する限界や、キリスト教的な世界観に対する疑問があったからだ。

3.やがて 70 年代に入ると、高学歴・高収入の層の中には仕事上の過度な競争でストレスを抱えた人たちが、坐禅する場所を訪れ、日々の生活の心の置き方を見いだすようになったのだ。スティーブ・ジョブズもその一人だった。ジョブズはやがて直感的でシンブルな思考の重要性に気付きました。曹洞宗の「ただ坐る」という教えが、彼の感性にマッチしたのでしょう。アップルの製品にはそのシンプルさが、反映されているように思えます。

(参考:「週刊ダイヤモンド」2022 年 12 月 3 日号)

>NPO法人マザーズドリームでは、いつでも寄付を受け付けています

NPO法人マザーズドリームでは、いつでも寄付を受け付けています

NPO法人マザーズドリームの活動にご協力ください。