耳より情報2023年9月 No.471

このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。

解体されたカネボウの「残り物」事業をどう再建したか 金田 信一郎(作家・ジャーナリスト) 

1.解体されたカネボウは、優良事業は他社に持っていかれ、3 事業(日用品・薬品・食品)が残った。クラシエは「残り物」からのスタートだった。わずか10 年で業績を立て直し、高収益企業に変貌(へんぼう)していた。当時のクラシエ社長、石橋康哉はこう言った。「涙も流し地獄もみた。カネボウ破綻を知らない人が半分以上になった。我々はあの頃のことを伝え遺(のこ)さなければならない」。 

2.破綻した会社の、見捨てられた事業をどうやって復活させたのか。石橋氏は「家族主義のいい部分だけを引き継いだ」。「もちろん、悪いところはあった」。上司は「数を売ってこい」と言うだけ。安価だったので店頭では飛ぶように売れた。ところが、あとで採算を見ると赤字を膨らませているだけだった。そこで石橋氏はすべての経営情報を開示した。現場の社員が経営数字を理解したうえで、販売や開発のアイデアを考える。 

3.石橋氏は、全国の職場を回って、社員との飲み会を続けた。社員旅行も復活させた。ほかの経営幹部は青ざめた。「若手が嫌がってついてこない」。じゃあ若手に企画させればいい、と年間数千万円の予算を投じて、1~2 年目の若手に好きな企画を立てさせる。悪いことも含め、すべてをさらけ出して、熱く討論する。「若い人は給料のいい会社に移っていく。でも、こういう会社があっていい。我々は、家族主義だって言うことにしている」。

(参考「週刊東洋経済」2023 年7 月15 日号) 

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