このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
これまでの勝者が敗者に、敗者が勝者に(自動車産業)
1. 岐阜県の山あいにある廃校の体育館。そこに部品メーカーのエンジニアたちが日々集まっている。業界を揺さぶる車の電動化という「革命」。それを乗り越えるための戦いがここから始まる。岐阜県瑞浪市にその体育館はある。かつては中学校だった。そこへ全国各地から自動車部品メーカーのエンジニアらが足しげく通う。その数は2022 年3 月以降で400 社延べ4000 人に達する。
2. そこに何があるのか。米テスラの「モデルY」や中国・上汽通用五菱汽車の「宏光MINIEV」など海外製の電気自動車(EV)の部品4 万5000 点が所狭しと並ぶ。「テスラはこんな構造なのか」「この部品ならうちらでも作れるんじゃないか」。エンジニアたちが白熱した議論を交わす。
3. 少なくとも、瑞浪市の展示場に日参するエンジニアたちは違う。「血眼になってEV の設計思想を読み取ろうとしている」。トヨタ自動車の元エンジニアで三洋貿易の技術顧問を務める白浜光晴は話す。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は電動化を自動車産業の「革命」と呼ぶ。これまでの勝者が敗者に、敗者が勝者になり得る。勝負はまだ始まったばかり。部品メーカーが生き残りをかけた挑戦に踏み出した。
(参考:「日経ビジネス」2023 年10 月23 日号)