株式会社の土台を考え作り直す  金田 信一郎(作家・ジャーナリスト) 

1. 現在の会社法はアメリカ型の経営に盲従した感が否めない。2 つの通説を信じ切っている。「会社は株主のもの」「株主価値最大化」だが、元早大法学部長の上村達男氏はこの2つの発想こそが、株式会社の「人間疎外」を生み出しているとみている。「人間のための仕組みの一つ一つが人間離れをした要素によって支配されている」。それは日本で盲従されている「株式会社教」への警鐘でもある。 

2. そして、こう言い切る。「会社は株主のものではない。株主が持っているのは、株券だけである」。そこにいる社員を、自分のモノのように好き勝手に扱っていいはずもない。「そこを経営者が勘違いしている。今の多くの会社には、人間の匂(にお)いがしない。カネの匂いばかりがプンプンする」。その結果、株を高速で売り買いして利益を上げることばかり考える投資家が幅を利かせる。 

3.そんな「銭ゲバ株主」を、長期投資の株主と同様に扱っていいのか?上村氏は喝破(かっぱ)する。「そういう株主にとって『会社は株主のもの』という標語くらいありがたいイデオロギーはない。姿は『オレにカネをよこせ』という標語にほかならないからだ」。これは土台から作り直さなければならない。 

(参考:「週刊東洋経済」2024 年2 月17 日号) 

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