1.約束、契約、婚約など、様々な結びつきを意味するエンゲージメント。日本では今、企業と社員との「従業員エンゲージメント」が崩壊している。社員の仕事への熱意、会社への帰属意識は世界125 カ国で最低だ。若手のやる気をそいでいるのが、いまだ残る従弟的な上意下達の風土だ。自ら考えて動く社員の力を引き出せなければ、日本企業の将来は暗い。
2.1990 年ごろ、米ゼネラル・エレクトリックのジャック・ウェルチ会長(当時)が「従業員エンゲージメントを何よりも優先しろ」と説いたことで注目され始めた。個人のやる気を指す「モチベーション」や、「従業員満足度」とは異なる概念だ。エンゲージメントが低い企業では生産性が落ちたり、新規事業の創出などが進まなかったりするほか、社員の離職が増えるリスクが高まる。さらに業績や株価指標との相関も指摘されている。
3.権限委譲とフィードバック(社員の良さや誰かが誰かをほめる等)に加えて、エンゲージメントとの相関が注目されているのが「心理的安全性」。崩壊状態の日本のエンゲージメントだが、この3つの要素をしっかり根付けば、従弟的な「やらされ仕事」の風土が薄まり、ぶら下がり社員は減っていくだろう。今からでも遅くはない。エンゲージメントを立て直す時だ。
(参考:「日経ビジネス」2024 年1 月29 日号)