AI時代の到来で大量生産型へ逆戻り     山田日登志(PEC協会会長) 

1.1990 年代後半から急速に進んできた多品種少量のものづくりでは、より多くの工程を1 人で担当する多能工が威力を発揮しました。でもここ数年で急速に人工知能(AI)が発達し、製造現場における効率化のあるべき姿も変わってきています。コンベヤー式に代表される大量生産型に戻るべき時が来ているのです。こんなことを言うと驚く方もいるでしょう。90 年代以降、ソニーやキャノン、NECなどの現場で多能工を育て、その究極の姿である「一人屋台」を確立したのは、私だからです。 

2.しかし、人はやる気があればAIではかなわないくらいの能力を発揮する。でもやる気を失い、言われたことだけをやるサラリーマン体質に陥ってしまえば、目の前に流れてきたものに所定の処理をすればいいコンベヤーの方が管理が楽になる。そんな現場が今、日本で急増しているのです。 

3.AIが発達しているといっても現時点で一人屋台をさせるのは無理ですが、コンベヤーなら可能。会社が利益を出すために、人ではなくAIを搭載した機械を使うのは当然の結末です。日本企業がグローバル競争に勝つには、社員全員を、仕事を我が事として捉え、自らカイゼンできる「小さな経営者」に育てることです。

(参考:「日経ビジネス」2024 年7 月15 日号) 

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