休暇取得を職場の「初期設定」に   佐々木 周作(大阪大学特任准教授)

1. 職場での人間関係がある以上、社員は同僚と異なる動きをしたがらない。同僚が仕事をしている中で、休みを申し出ることは心理的負担が大きい。上司の雰囲気にも左右される。会社は、誰が上司でも機能する制度を導入する必要がある。行動経済学で、「デフォルト(初期設定)・ナッジ」という手法がある。ナッジは「そっと背中を押す」という意味だ。人は面倒くさがりなので、強い意志がなければ、あらかじめ設定されたものを選ぶ傾向がある。これを応用した手法だ。 

2. 警視庁では、宿直明けの休暇所得者を初期設定とし、取得しない場合に申し出る形式に変更した。すると、宿直明けの休暇取得者は3 倍になった。千葉市では、男性職員が育児休暇を取ることを前提とし、取得する際の申請書を廃棄した。そして、取らない場合に申告する制度に変更したところ、1 桁台だった男性職員の育児取得率が9 割を超えた。 

3.社員は、初期設定が会社の方針だと思い込んでしまう特性がある。休む際に申請が必要であれば、「会社は休んでほしくない」と判断する。現状、多くの企業では休みにくい初期設定になっている。 

(参考:「日経ビジネス」2024 年7 月15 日号) 

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