
1.国内の主な小売業で訪日客消費の急激な落ち込みに苦しんでいるのは、百貨店業界だけのように見える。百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストアの主要な小売業のうち、今年2 月以降で販売額が前年を下回って推移しているのは百貨店のみだ。ほかの業態では前年同月比で3~7%程度の売上成長が続いている。
2.そうした中、百貨店各社が今、積極的に取り組んでいるのが海外CRM(顧客関係管理)だ。具体的には専用アプリやSNSなどを通じて情報発信を強化したり、再来店や利用を促すためのサービスを提供したりする取り組みを指す。
3.三越伊勢丹によれば、アプリに登録している国内顧客のほうが、登録していない国内顧客よりも年間の購買額が2 倍近く多いという。足元の訪日客消費の急減を受けて、海外顧客への対応を見直し始めた百貨店各社。大丸松坂屋百貨店もデジタルサービスの拡大に力を入れている。アプリの有効会員数292 万人のうち、すでに10 万7000 人をインバウンドの顧客が占める。
(参考:「週刊東洋経済」2025 年8 月30 日号)