
1. 明治期の日本人の原動力となったものの一つに武士道精神があると思います。武士道精神の中核となる惻隠(そくいん)の情、誠実、正直、勇気、あるいは卑怯を憎む心。これらが江戸時代には町民や農民の間にも広がっていった。浄瑠璃にしても歌舞伎にしても講談にしても、武士道精神が出てきます。 教育の場では藩校や寺子屋が儒教をベースとして人としてのあり方を教えました。つまり、文明開化の前から日本人にはそういう高度な精神性が身についていたわけです。
2.この武士道精神のルーツは鎌倉武士と言う人もいますが、惻隠、誠実、正直、勇気といったものは縄文時代から連綿と続く日本人の美徳であり、それが江戸時代にすべての人たちに浸透して明治になって開花していきました。日本人は他のどの国よりも道徳的に秀(ひい)でて品格が備わっていたからこそ、たとえ農民出身の兵士であったとしても大いに武士道精神を発揮し、日清・日露戦争などを戦い抜けたのだと思います。
(参考:「致知」2026 年2 月)