
1. 1980年代以降の新自由主義政策やグローバル資本主義の拡大が所得格差と地域格差を広げました。成功者は、その成功が家庭環境や運に大きく依存している事実を忘れ、「自分の努力だけで成功した」と勘違いしがちです。この傲慢さが社会の分断を深めています。
2. 成功の中に占める「運の役割」と「努力の役割」を測定する客観的な方法はなかなかありませんが、間接的測定はできます。一つは、裕福な家庭からトップの大学に入る学生の割合です。東京大学やアイビーリーグの学生の大多数が裕福な家庭出身であるという事実が、成功における運の役割を示す間接的な測定方法です。
3. そして、これこそが実力主義のパラドックスなのです。能力主義は元々、世襲貴族制の代わりとして平等を約束してきましたが、現在では裕福な家庭が早期教育などに投資することで、実質的に世襲特権が継承されるメカニズムとして機能し、格差を正当化するものとなっています。低収入の家庭に生まれても、頑張れば成功は可能である、という主張もあり、それが当てはまる人もいますが、卑しい生まれでも成功できるというアメリカンドリームは、決して真実ではありません。
(参考:「週刊ダイヤモンド」2025 年12 月13 日・20 日号)