このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
急激な脱炭素シフトが日本企業の経営を圧迫する
1.日本製鉄がトヨタ自動車を提訴、ソニーグループ、デンソーと台湾半導体TSMCのタッグ。この二つの大事件に共通しているのは、発端が世界的な脱炭素シフトにあるということだ。主要国のグローバル企業が、グリーン経済戦争の覇権(はけん)を握ろうと命懸けのアクションを起こし始めている。
2.企業の競争力を測る物差しが「利益」から「炭素」に変わる。炭素を垂れ流す非エコな企業はビジネスの参加資格すら得られなくなる。典型的なのが米アップルだ。2030年までにサプライチェーンの100%において脱炭素を達成る方針を掲げたのだ。石炭火力由来の「汚い電気」で作られた日本の電子部品は、アップルへの納入ができなくなってしまう。
3.炭素を減らす取り組み、ビジネスモデルのチェンジ、脱炭素リスクの情報開示に伴う事務的コストの増加。急激な脱炭素シフトが、日本企業の経営を大きく圧迫しようとしている。とりわけ、大量に炭素を排出する日本の製造業やエネルギー業界は、脱炭素対応が死活問題になりかねない。
(参考:「週刊ダイヤモンド」2021年11月6日号)