耳より情報2022年8月 No.265

このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。

日本電産と村田製作所の差は原価戦略

1.日本電産、村田製作所の売上高に占める原価率を比較すると、日本電産は8 割弱、村田製作所は6 割弱と差は歴然だ。日本電産は、価格を抑えてシェアを拡大する、コストリーダーシップ戦略を柱としている。一方、 村田製作所の戦略は、高機能化による差別化だ。高付加価値製品は代替品がなく、市場投入から時間が経っても価格を維持できる。

2.ともに絶好調だった2022 年 3 月期決算だったが、とくに日本電産は売上高が前期比約2 割増の1 兆 9181 億 円で、村田製作所を軽々と抜き去った。シェア拡大戦略が奉功した格好だ。しかし、営業利益率で見ると日本電産は前期比 1 ポイント悪化(8.9%)、それに対して村田製作所は 4.2 ポイント改善し、20%台(23.4%) に乗せた。

3.要因は金属や半導体など部材の価格高騰と、その対応の差に在る。低価格戦略に重きを置く日本電産は、積極的には製品への価格転嫁が行えず、原価率が高まる要因となった。一方、村田製作所は主力製品の部品を内製化していることもあり、部品価格の値上げを最小限にしつつ、利益率拡大を進めている。                  

(参考:「週刊東洋経済」2022 年 6 月 4 日号)

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