
1.昔、一人の青年が松下幸之助に質問した。「経営者にとって大事なことは何ですか」「それは運が強いことです」青年はさらに質問した。「では運を強くするにはどうすればいいですか」「それは徳を積むことです」。当意即妙の問答は、松下幸之助が常に運と徳について考えていた人であったことを物語っている。
2. 松下幸之助は続ける。「運命は外からやってくるのではない。自分の心の中で、毎日育っているのだ。毎日がつまらない時、それは自分がつまらない人間になっているかもしれない。人生をむなしく感じる時、それは自分が空っぽになっているからかもしれない。人生にうんざりした時、人生のほうが君にうんざりしたと言っているかもしれない」。
3. 老子の言葉に「天道に親(しん)なし。常に善人に与(くみ)す」がある。天は特に親しくする者はいないが、善人に味方する、ということである。最初から徳のある人はいない。何度も何度も繰り返し、心を磨いていくことで、その人は徳のある人になり、良き運命も招来するものだ。
(参考:「致知」2026 年10 月号)