- 2022年4月3日
耳より情報2022年4月 No.190
円安は賃下げと同じ、日本の地位は低下する 野口悠紀雄(一橋大学名誉教授) 1.円安は日本経済の体力を消耗させ、日本を衰退させる。賃金が上昇しないままで、家計はこれから物価高に直面することになる。上がったとしても実質賃金が上昇するほどには上がらないだろう。だから、家計は貧しくなる。第1次石油ショック時のトイレットペーパーの買い占めの再来があり得る。企業は、輸入物価の上昇分を簡単には転嫁できないため、 […]
円安は賃下げと同じ、日本の地位は低下する 野口悠紀雄(一橋大学名誉教授) 1.円安は日本経済の体力を消耗させ、日本を衰退させる。賃金が上昇しないままで、家計はこれから物価高に直面することになる。上がったとしても実質賃金が上昇するほどには上がらないだろう。だから、家計は貧しくなる。第1次石油ショック時のトイレットペーパーの買い占めの再来があり得る。企業は、輸入物価の上昇分を簡単には転嫁できないため、 […]
21世紀に重要視されるスキルは、新しいことを学ぶスキル 數土文夫(JFEホールディングス名誉顧問) 1.21世紀に入って、人々のごく身近に喫緊の2つの課題が出現していると思います。1つは、私たちの生活の糧(かて)を得る手段、仕事・職業の寿命がどんどん短くなっていることです。情報技術(IT)、人工知能(AI)、ロボット、これらを総合したデジタルトランスフォーメーション(DX=ITによる変革)があらゆ […]
私利私情を離れ邦家のため (解説)最後に当局者に一言して置きたい事は、奨励は大いにこれを努めねばならぬが、不自然不相応の奨励を行えばついに無理が出来る。親切なやり方もかえって不親切な結果となり、保護したつもりが干渉束縛(そくばく)となる。殊に商品の試験及び紹介する際には、私利私情を離れて一に邦家(ほうか)のためを思い、公平と親切とを忘れざらん事を切望して置く。 (参考:渋沢栄一「論語と算盤」):国 […]
ゼネラリストより専門家をリーダーに 1.日本では管理職として出世するにはゼネラリストであることが重視されてきた。リーダーには多様な仕事や勤務地を経験させることが常識だった。とりわけゼネラリスト志向が強いのが官公庁だ。「キャリア官僚」と呼ばれる人材は2,3年で定期異動を繰り返す人事制度は今も続いている。民間企業では、一貫して専門領域を歩んできた人材がトップに就く例も目にするようになった。2.しかし、 […]
22年の勝ち組(リベンジ消費の先を描く) 1.外食や小売り、観光分野の企業は新型コロナ禍で大打撃を受けた。だが現在は、外出自粛(じしゅく)の我慢を重ねた消費者が活発に動き出す様子が見られる、富裕層もけん引役となり、2022年は「リベンジ消費」が盛り上がる公算が大きい。リベンジ消費の先を見据えて生き残り策を探ってきた企業の一つに、「塚田農場」がある。緊急事態宣言で店舗を休業させている間にも、人材育成 […]
事業経営に必須の条件(渋沢栄一) 井上潤(渋沢資料館館長) 渋沢栄一が晩年に語った「事業経営に必須の条件」は次の四つの内容です。1.事業を営む、立ち上げる際は、自分の力だけで進むのは困難であって、必ず周囲の事情を察知し、よくこれに適応するようにしなければならない。特に経済界の中心を担う者は、周囲の関連する諸種の事態、経済全体を見渡すことが必要である。2.事業経営においてはすべて無駄のないよう、二重 […]
事業の成否は各人の双肩(そうけん)にある (解説)次にわれわれは奨励会の事業を選択して置く必要がある。奨励はその声ばかりでも利益は少ないが、せっかく会組織にしたのであるから、ぜひ目的を貫徹する為に実際の事業に着手し、範を天下に示すべきである。しかして事業の成否は一つにかかって各人の双肩にあるのだから、お互いにこの会の発展と利用とに力を注がねばならぬ。 (参考:渋沢栄一「論語と算盤」):国書刊行会
作業ではなく仕事を 高岡浩三(元ネスレ日本社長) 1.日本の経済人には何が必要か。特に若い人たちには、世の中の変化を読み取る力を付けてもらいたい。そのために必要なのは、やっぱり考えること。特にホワイトカラーは、考える時間をものすごく持つことが大事です。日々の業務に忙殺されている人たちも多いと思いますが、それでいいのかということです。2.僕はネスレ日本時代、社員に「仕事と作業は分けてくれ。そして、仕 […]
CEOが社外取締役の力をいかに引き出すか 藤田勉(一橋大学大学院経営管理研究科特任教授) 1.米国では、経営者のスカウトが活発であり、大企業の最高経営者(CEO)や経営会議メンバーは経営のプロである。日本では、社外取締役を多くそろえても、低成長かつ不祥事が頻発(ひんぱつ)する会社が少なくない。一方、同じく社外取締役が多いソニーグループ、日立製作所は成長し、株価は大きく上昇した。これらの違いは何であ […]
コロナ後の新資本主義「命の経済」に転換を ジャック・アタリ(経済学者・思想家・作家・「欧州最高の知性」と称されるフランスの知識人) 1.今回の新型コロナ禍による混乱の克服でカギを握るのは「命の経済」という概念だ。「命の経済」とは組織構造、消費、生産の形態を根本的に見直し、生活に必要不可欠だと判明した部門へと経済を導くことを指す。例えば命の経済では、医療や教育、インフラ、再生可能エネルギー、エコ住宅 […]