このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
改めて「学び」とは何か 田口 佳史(東洋思想研究家)
1.「学べば即(すなわ)ち固(こ)ならず」。『論語』の学而第一にある名言です。そもそも『論語』は、学ぶことの大切さ、学んだら何回も実習すること、そしてその学びが身についたときの悦(よろこ)びについて、教えてくれている書物です。
2.しかしここで、私達現代人が、改めて考えるべきことがあるように思います。それは、学びといえば、「知識を覚えること」と思ってはいないかということです。「物知り」こそ目指すべき人物像になってはいないか。儒家思想の説く学びは、「立派な人間(君子)になるため」という命題が貫かれています。では、何を学べばよいのか。君子としての道を学べといっています。君子の道とは何か。先達先学の行いをよく見ること、賢人賢者の教えをよく聞くこと、としています。
(参考:「致知」2023 年12 月号)