
1.日本の自動車・自動車部品メーカーにとって、中国事業はもはや生長エンジンではなくなりつつある。価格競争は激化。ソフトウエアの主導権は中国勢に握られ、日本メーカーの競争環境は厳しくなっている。かつての稼ぎ頭だった中国事業は、いまや三つの撤退リスクを抱える存在へと変容してしまった。
2.第一に、EV分野で中国が主導権を握り、日系メーカーが利益を確保しにくくなっている点だ。「稼げないが、やめることも難しい」というねじれが、中国事業の経営の足かせにしている。二つ目は、米中対立の激化に伴う地政学リスクだ。自動運転に関わるデータ規制など、中国ビジネスはもはや経営努力だけでは制御できない国家リスクにさらされている。
3.そして三つ目は、最も厄介な構造問題だ。完成車メーカーは長らく合弁方式での進出を義務づけられ、工場や研究開発拠点への投資は中国域内に固定されてきた。いったん投じた投資は、容易に回収することができない。つまり、中国ビジネスを畳もうとしても、経営判断だけでは撤退できない。ここに、「進むも地獄、退くも地獄」といわれるゆえんである。
(参考:「週刊ダイヤモンド」2026 年3 月7 日号)