No.1039 ファミリー企業の活性化こそ成長の呼び水    柳川範之(東京大学大学院教授)

 

1. 日本経済の成長戦略において、先端技術を扱う大企業の研究開発や生産性向上が大事なことは間違いない。だが、日本全体の成長を考えた場合、ファミリー企業の活性化も実は欠かせない。なぜならば、地方の中小企業のほうが日本全体では圧倒的に数が多く、そのうちのかなりの割合がファミリー企業だからだ。 

2. 実際、日本のファミリー企業が優れた特長を持っていることも知られている。例えば、トップの意思決定が速く環境変化に柔軟に対応しやすい点や、子供や孫の世代のことまで考え長期的視点に立った経営を行える点、長期的視点を持っているため、地域経済のステークホルダーとの関係を重視する点などだ。 

3. ファミリー企業の課題としては、会社全体の意思決定が、ファミリーの利益優先になっているという懸念だ。結果、従業員や少数株主などが犠牲になってしまうおそれがある。そうなると、例えば優秀な従業員が就職してくれないといった事態が生じ、企業価値の向上が困難になってしまう。従って、必要なのは、ファミリー企業がどのような経営やガバナンス体制をとっているかを内外に示していくことだ。それによって、優秀な従業員をひきつけたりすることができれば、日本経済全体の底上げを可能とする。

参考:「週刊東洋経済」2026 年6 月13 日号) 

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