No.1037 転勤という雇用慣行は持続可能か考える機会だ   川本裕子(人事院総裁) 

 

1.日本型雇用システムの特徴の一つに「転勤」がある。国内外にビジネスを広げる企業であれば、業務の必要性に応じた転勤は雇用の保障の下、人事慣行として戦後長らく受け入れられてきた。他方で英語には、「転勤族」や「単身赴任」をぴったり表す言葉がない。公募制や同意が人事の前提となる国も多く、転勤への考え方は日本とは違う。 

2. その転勤制度が大きな転機を迎えている。転勤は働き手の生活と人生設計に直接影響する。共稼ぎが多数派になり、若手には地元志向も強いなどライフスタイルや価値観が変わる中で、転勤を避けたい人が増えるのは自然に思える。夫婦どちらかの転勤で遠隔地に家族で移る場合、配偶者のキャリアを中断させるなら逸失利益は多大だ。 

3. 転勤は我々に様々な課題を突きつける。従来の慣行が持続可能でないとすれば、デジタル技術や交通手段などの進歩を踏まえて、在り方を一度見直してみる意義はある。例えば、組織を超えた連携によってより少ない人材で効果的に業務を回す余地はないのか。また働く側にとって価値ある転勤とは何か。

(参考:「日経ビジネス」2026 年6 月22 日号) 

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