
1.心身の養生法を説いた『養生訓』で知られる江戸時代の儒者・貝原益軒(1630~1714 年)。日本の有史以来の三大ベストセラーは何かと考えると、私は紫式部の『源氏物語』、松尾芭蕉の『奥の細道』、益軒の『養生訓』を挙げたいと思います。特に、人生百年時代を迎え、これだけ健康や老後の生き方に関心が集まっている現代において、益軒の教えはますます輝きを増していくことは間違いないでしょう。
2.『養生訓』では、「養生の術は先(まず)心気(しんき)を養なふべし。心を和(やわらか)にし、気を平らかにし、いかりと慾とをおさへ、うれひ・思ひをすくなくし、心をくるしめず、気をそこなはず。是心気を養ふ要道なり」と、まず心を養い、怒りや欲望、憂いや心配にとらわれず、ストレスを溜めないことが養生、よりよい運命をひらく要諦であると教えています。
3.もう一つ益軒の養生法のキーワードとして挙げたいのが、正道を実践して善を楽しむことです。もちろん、忍耐や努力も必要ですが、やはり正しい道を実践し、長生きして日々を楽しむ能力がなければ、よりよい人生、運もひらけないということです。
(参考:「致知」2026 年10 月号)