
1.金融庁が進める企業統治改革は、機関投資家と企業によく対話してもらい、企業価値を上げることを目指している。ただ単に対話しろと言っても何を話せばよいのかわからない。対話の材料として企業が情報を開示することで、資本市場のインフラが出来上がってくる。
2.もっとも財務諸表だけでは企業の将来性を読み取りきれない。対話を深めるには従業員のスキルや創造性なども考慮する必要がある。投資家からそのような情報の開示を求める声が出ていたのに応え、有価証券報告書での人的資本開示を義務化した。日本企業と投資家が一丸となって取り組めば、人的資本開示の世界的な先駆者になれるはずだ。
3.女性活躍の遅れや従業員エンゲージメントの低さなど、日本企業は人的資本に関して様々な課題を抱えている。それだけに、人的資本開示を国際的にリードすることは大きな意義があると考えている。創意工夫を競い合い、開示の好事例を共有することで、日本企業全体でレベルアップしてほしい。
(参考:「日経ビジネス」2024 年12 月23 日号)