No.1031 日本経済の長期停滞の背景にあるもの    河野龍太郎(BNPパリバ証券経済調査本部長) 

 

1. 日本の生産性が上がっていないから実質賃金が上がっていない、だからもっと生産性を上げないといけない、という論考が行き渡っています。しかし実際には、時間当たり生産性は過去四半世紀で3割上がっていますが、実質賃金は全く上がっていない。日本の真の問題が、生産性ではなく、所得の1次分配にあります。 

2.90年代後半から2000年代前半までは、過剰雇用、過剰設備、過剰債務を抱えていたので従業員に賃上げを我慢してもらうのは仕方なかった。しかし、安定的に儲かるようになった10年代以降も、コーポレートガバナンス改革で、株主還元にばかり注力し、従業員に報いることを忘れていた、という経営者が多い。 

3.私は労組に対しては十分闘っていない、とお話ししています。今年ももっと要求すべきでした。長期雇用制の中にいる人は、定期昇給もあり、雇用も守られているからいいのです。ただ、非正規雇用の賃金は抑えられ、相当苦しい状況が続いていますが、労組の方も、正社員の雇用維持ばかりをかんがえていたことが、非正規雇用の賃金に悪影響を及ぼしていた、と反省していました。こういった問題が日本経済の長期停滞の背景にあります。  

(参考:「Diamond WEEKLY」2026 年6 月13 日号) 

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