No.967 ノーベル賞を「国家の成長力」に変える    井上達彦(早稲田大学商学学術院教授) 

 

1. 2025年、京都大学で多孔性配位高分子を開発した北川進特別教授がノーベル化学賞を受賞した。日本の基礎研究が世界最高水準にあることを示す快挙です。ノーベル賞は単なる学術的栄誉ではない。社会、メデイア、産業界、政策当局の注目を一気に引き寄せる、極めて特異な「制度化された信用装置」なのだ。 

2. ではこの圧倒的な注目を、いかにして産業競争力へと転換できるのか。ここで、産学官連携の真価が問われる。政府の役割はこの産学の動きを後押しする制度設計にある。研究助成や実証支援に加え、スタートアップのM&Aを促進する税制、官民ファンドによる長期リスクマネー供給、上場だけに依存しない出口戦略の整備が不可欠だ。ノーベル賞を「たたえる対象」ではなく、「育て、増幅させる国家資産」として扱う視点が求められる。 

3. 受賞発表の瞬間から鳴り止まなかった電話は、日本にとっての好機の到来を告げる合図でもある。産学官がその意味を正しく受け止め、同じ成長シナリオを共有できるかどうかが、いま問われている。 

(参考:「週刊東洋経済」2026 年1 月31 日・2 月7 日号) 

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