
1. 半導体切削・研磨装置大手のディスコ。売上高4300 億円(2026 年3 月期)、社員の平均年収は1672 万円、営業利益率40%を超える同社には鉄の掟(おきて)がある。「バイヤーの誓い」だ。入社後、全社員がサインする書面には、こう記されている。「サプライヤーからの金品・贈答品は一切受け取らない」「接待は原則禁止。受ける場合は購買部長と自部門長に事前の許可を得て、事後にも両上司へ報告書を提出する」。誓いには「著しく反した場合は、懲戒免職を受け入れる」と明記されている。
2. このルールの最大特徴は、サプライヤーに、ディスコのバイヤーの罷免権を持たせていることだ。一般的に、顧客であるメーカーに対して、買ってもらう立場のサプライヤーは立場が弱くなりがちだ。そのため、自社製品を買ってもらおうと接待する動機が生まれる。ディスコはこの接待を禁じ、かつ罷免権を与えることで対等なビジネスパートナーとしての関係を維持する仕組みを構築した形だ。
3. ディスコの営業担当者も接待する機会があるが、その際には社員が持つ社内通貨「ウィル」から支出する。ウィルは営業成績に左右されるボーナスと連動しており、売上が見込めなければ、担当者は身銭を切る形になる。接待をめぐる強固なガバナンスが、半導体製造装置で世界屈指の企業を支えている。
(参考:「日経日ビジネス」2026 年2 月23 日号)