
1. 「トップの暴走を止めるのは容易ではない。創業者がトップを務める企業なら、なおさらだ」。そう語るのは、キリンホールディングスの磯崎功典会長CEO(最高経営責任者)だ。脳裏に浮かべるのは、ダイエーを創業した中内功だ。中内功と会話を交わしたこともあったが、「最後は裸の王様のようだった」と振り返る。「功成り名を遂げた人物だからこそ、自分の手法が時代にマッチしているかどうか、感じ取れなくなってくるのではないか」。
2. トップが私心を優先すると、企業は進路を誤る。だから磯崎氏は毎朝、自分と向き合うことを習慣としている。ただ何も特別な取り組みではない。両親の位牌(いはい)に手を合わせる時間を大切にしているのだ。「家族の前で胸を張れるか」「お天道様の下を歩けるか」と自問する。「鏡に映る自分を見つめ、心の中に驕(おご)りがないかを確かめている」。海外に出張しても、この習慣は欠かさないという。
3. 長期政権の組織は風通しが悪くなり、機能不全に陥ったケースが少なくない。「自らを客観視する力」を持ち、自らの権力を正しく行使できる人こそ、真の経営者と言える。
(参考:「日経ビジネス」2026 年5 月18 日号)