
1.自然体験に加えて重要なのは、芸術教育だと考えます。現在の教科書はマニュアルを使って知識や技術を身につけることに重点が置かれています。もちろんこれらは必要ですが、知識や技術に偏った教育だけでは肝腎の心が育ちません。思いや情熱がなければ、いくら知識や技術があっても、これを駆使してその先に進むことはできない。逆に思いや情熱さえあれば、知識や技術は自(おの)ずと高まっていくのです。
2. AI が進歩する中で、音楽や美術の授業を減らそうとする動きがあるようですが、心の感動を育む教育を蔑(ないがし)ろにするのはまさに本末転倒です。目に見えて現れる枝葉や上澄みだけではなく、目に見えない根本、本質的な部分を鍛えていかなければいけません。
3.脳科学の研究を長年続け、そこに私自身の経験をも重ね、人間が幸せに生きるために最も大切なのは、「感謝の心」だとつくづく実感しています。ドイツ哲学者・カントは「幸福を追求することは自己の権利であり、同時に他者の幸福を追求することは自己の義務である」と語ります。
(参考:「致知」2026 年7 月号)