
1. 急拡大するインドの自動車産業では、設備投資に人材育成が追いつかない「質のボトルネック」が課題とされてきた。最新設備を導入しても、それを使いこなし、品質や安全を自律的に担保できる現場人材が育たなければ、量産化は持続しない。特にインドでは、企業が基礎的な現場教育を担う場面も多い。
2. マルチ・スズキは工場に「道場」と呼ぶトレーニング施設を設け、日本式の現場教育を徹底している。さらに経済産業省と連携する「日本式ものづくり学校」を4 校運営。設備、教員、カリキュラムから療運営までを担うことで、即戦力人材を裾野から育てる体制を築く。
3. こうした取り組みはインド進出企業だけの問題にとどまらない。人口減少が進む日本では、もはや国内だけで自動車産業の人材基盤を維持することは難しい。インドで育った技術者や現場監督が、日本流の品質管理や改善思想を身に付ければ、それは将来、日本の自動車産業全体を支える人材プールにもなり得る。インドでの人材育成は、日本の自動車産業が次の成長ステージへ進むための「第二の基盤づくり」でもある。
(参考:「日経ビジネス」2026 年4 月20 日号)